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松前真奈美はカプコンが開発して発売したロックマンの作曲家です。松前さんの過去やロックマンの開発、音楽制作、松前さんが作って頂いた「World 1-2 LP」の新曲についてお話をします。

「World 1-2 LP」は、Koopa Soundworksから近日発売予定のモハメド・タヘル監督によるミュージックアルバムです。詳細はリンクをクリックしてください。


モハメド・タヘル:こんにちは、松前さん。今回、お話することになり、とても嬉しいです。

松前真奈美:こちらこそ、はじめまして。クウェートの方からインタビューを受けるのは初めてなので、大変ワクワクしています。よろしくおねがいします。

モハメド:えー、では、それぞれの人に違いはありますが、私が最初にしたゲームはメガマン(ロックマンの海外名)でした。
今もそうですが、このゲームシリーズは私と兄貴にとって又、全てのゲームファンにとって強烈なインパクトがありました。最初のメガマン(貴方が作曲した作品)はとても難しく、何度も何度もガッツマンのステージで、死んでは叫び声をあげた事を覚えています(笑)

真奈美:ええ、確かにガッツマンステージは難しいです。私もすぐに落っこちて、死んでしまいますよ(笑)ここだけの話、実は私、未だに、Mega Manをクリアしていません。

モハメド:えっ!なんとまぁ!興味深い。私も何年前まではそうでしたよ。じゃあ、本題にはいりましょうか。あなたは、どういういきさつで作曲をするようになったのですか?

真奈美:私が4才か5才の頃、父親が弾いたアコースティックギターの曲を、一度聴いただけでその曲を私はオルガンで弾いたらしく(絶対音感があった)、父親はびっくりしてそのまま、音楽教室へ連れて行き、ピアノを習い始めました。それが音楽を始めたきっかけです。

その後、ずーっとピアノばかり弾いていて、大学へ。高校時代にバンド活動で作曲をしてとか、そういうことは全くありませんでした。

大学4年の時、「大学卒業後、何の仕事につくか?」と考えていて、ピアノを専攻していた私はピアノの先生になるのだと思っていました。
ある日、本当に何気なく、大学の就職掲示板を見て、カプコンが音楽制作をする人を募集していました。
その時、スーパーマリオ、ドラゴンクエストなどのゲームに、はまっていて、カプコンがゲーム会社だという事を知っていました。
だから「ちょっと、どんなものなのかー?」と軽い気持ちで、応募してみました。
もし落ちても、ピアノの先生の道があると思ったからです。すると、なんとまぁ、採用されてしまったのです。
それまでの私は、大学の授業で作曲法を勉強しただけでした。オリジナルの曲は大学の試験の時に数曲つくっただけでした。それもクラシック風のものでした。
だから、カプコンに入ってから、作曲で苦しむ事となるのですよ(笑)

モハメド:それはおもしろい話ですね!じゃあ、カプコンに入社して初めてした仕事は何ですか?

真奈美:カプコンに入ってはじめての作品は、井出洋介の実践麻雀で、1曲(クラシック風の曲)だけ作曲しました。

モハメド:えっ!ロックマンが最初のゲームではないのですか!

真奈美:だから、多分多くのみなさんが、私の初めての作品がロックマンだと思っているでしょう。でもそこに行くまでに新人は実践をつまなければならないのですよ(笑)
だから井出洋介の実践麻雀で1曲作り、先輩達のOKが出て初めて、次のゲームをまかされるわけです。そののち、ロックマンの作曲をする事になりました。

モハメド:そうですか。それでは、クラシックをやってきた人にとってNESでの制限は難しかったですか?(例えば、3音しか使えないとか)

真奈美:私は3音で作曲する事に関して、そんなに苦痛ではありませんでした。なぜなら、大学時代、バッハの平均律(Johann Sebastian Bach、 The Well-Tempered Clavier)を課題でイヤと言う程、弾いていましたから(笑)平均律はたった3音、4音で、みごとにコード感を聴衆に感じさせる事が出来るすごい作品です。
それを勉強していたので、全くも問題ありませんでした。しかし、私はリズム関係(Drums)に関しては全く知識がなかったので、その当時は流行っていた曲( Propaganda、 Phil Collins、 Mezzoforteなど)を聴いてドラムの勉強をしました。

モハメド:面白いですね。その当時、誰もロックマンがマスコット的な存在として、成功するとは思ってもいませでした。ロックマンはこのシリーズの最初のゲームで、そしてそれをあなたが作曲し、音楽を築きました。あなたは、どのような音楽を作ろうと思ったのでしょうか?

真奈美:そういっていただけて嬉しいです。私もこんなに長く続くとは、思ってもみませんでした。私がロックマンの画面を見て感じた事は、かっこよくて、強くて、ヒーロー的な存在、例えばアニメの鉄腕アトムをイメージしました。だから、アニソンのように覚えやすいメロディ、躍動感を意識して作りたいと、プランナーに伝えた所、彼は「それでOKだ!」と言ってくれたので、そのように作曲しました。

モハメド:ロックマンは最初の頃から、それぞれのキャラの音楽に大きな比重がありましたか?
私が思うに、”ロックマン” ”ブルース ”ロール”そして、ボスのようなキャラの”フォルテ”彼の犬の”トレブル”。
これらのキャラは、当初から作られていたのでしょうか?それとも後で決まったのでしょうか?

真奈美:最初からは決まっていなかったと思います。私がまだカプコンにいた頃、「ロックマン3で今度、ブルースの口笛を作るんです!」と、ロックマン3の作曲者が言っていたのを覚えています。3では、まだプランナーもロックマン3から変わりましたから、その後、様々なキャラクターが登場して、それぞれの音楽をも持ったのだと思います。

モハメド:確かに、よく考えると、ロックマンが大胆で独特なのは、続編がリリースするたびに作曲家が変わることです。第1作は松前さんでした。第2作は立石孝さん、第3作は藤田靖明さんとか。結果、音楽に多様性が生じました。

真奈美:はい、その通りです。私はロックマンを担当した後、アーケード部門(業務用)に移る事になったので、その後、立石君に担当が変わりました。彼はプランナーの意図する音楽、私が作った音楽の流れを見事に感じ取り、かっこよく進化させ、ロックマン2をメジャーなものに押し上げてくれました。彼の音楽はとても賞賛に値するものです。その後、彼は違う会社に移ってしまったのですが、ロックマン3の藤田君も見事に仕事をしてくれました。

モハメド:また、松前さんのロックマン1との関わりがシリーズ全般には重要な役割を持っていると思っています。例えば、ロックマンの一番印象的な音の一部は松前さんが作ったものです。死んだときの効果音、1UPを獲得したときの効果音、ボス/ステージを選択したときの効果音、ボスのドアを開けて入ったときの効果音。簡単な音ですが、すべてのシリーズに使われているんですね。1以来の作品でも松前さんの影響が見れます。

真奈美:そう言っていただけてとても嬉しいです。今でこそ、音楽と効果音は別の人がやるのが普通ですが、当時は両方とも私が作らなければなりませんでした。死んだ時の効果音、One-upの効果音などは、今でも大変気に入っています。どのシリーズまで続いているのか知りませんが、ボス&ステージの音楽は、大変気にいっている音楽です。

モハメド:昔の事になりますが、オリジナルのロックマンの中で好きな曲はなんですか?

真奈美:うーん、カットマンとエンディングかな。カットマンは一番最初にプランナーからOKがでた曲、エンディングはステージの曲がアップテンポのものばかりだったので、スローテンポなところが気に入っています。

モハメド:そうですか。えっと、「まだゲームをクリアしていない」ということに関して、どのステージが一番難しかったですか?どのステージで諦めちゃいましたか?子供の時に、ガッツマンには困ったんですけど、現在は絶対にアイスマンです。簡単そうに見えますが実はそうではないですね(笑)

真奈美:やぱりガッツマン(笑)どうしても、動く床を渡るタイミングがつかめず、いつも落下(涙)だから、難しいのもガッツマン(笑)アイスマンステージも、出てきたり消えたりする床が嫌いです(笑)

これは、発売されている商品での話で、実は、一度だけクリアしたことがあります!
それは開発中、ゲームをしながら音楽と効果音の確認をしなければなりません。でも私がいつも、ガッツマンで落ちるので「チェックが進まないー!」と、プログラマーに泣きつくと、あたり判定を抜いたROMを焼いてくれました。これで、何度落ちても、敵から何度攻撃を受けても、火の海に落ちても、不死身(笑)やっと、そのようなズルイROMを使ってクリアし、チェックを済ませました。

モハメド:「かわいい」と「ひどい」のコンビネーションですよね!(笑)作曲した時に、ステージの構成を事前に知っていましたか?(ファイアー、アイスなど)
そして、テストプレイしたのち、音楽を変えたり調整したりしましたか?
あるいは、テストプレイをして、特に変えることなく、音楽、効果音に満足していましたか?

真奈美:作曲をする段階で、ステージの構成は知っていました。テストプレイ時に大事な事は、音楽と効果音のバランスなので、音楽の音量を下げたりする事はありますが、音楽そのものを変える事はありませんでした。3音で音楽が鳴っている所に効果音の1音が割り込んでくるので、効果音の長さを短くしたりして、音楽のメロディーが消えないような工夫はしましたが、なにぶん初めての担当だったので、時々メロディーが消えている箇所があります。(涙)

モハメド:私はメガマン2のエアーマンの曲を、あなたが少し手伝ったと、どこかで読みました。それは本当ですか?

真奈美:えっ!どこで聞いたのでしょうー(笑)
確かに、エアーマンの数小節のメロディーを書きましたが、ほんの数人しか知らないハズです。

モハメド:ファンサイトからこの情報を聞いたんです。ファンの方は、思ったより詳しいですね(笑)エアーマンのほか、何かロックマン2でカプコンと協力作業をしましたか?

真奈美:そうでしたか(笑)ロックマン2では、エアーマンだけです。ロックマン2のオープニング曲が、ロックマンのエンディングの続きとというコンセプトにきまったらしく、ロックマンのエンディングのデータを渡しました。

モハメド:又、私はロックマン10にも興味があります。ロックマン10に関して、カプコンは印象的な仕事をしたと思っています。歴代のロックマンの作曲家を使ってロックマン10を作るなんて・・・。彼らから電話で”こんなゲームの企画があるのだけど・・”と言われたのでしょうか?どんな風な感じで参加する事になったのでしょうか?

真奈美:私は会社を辞めてから、カプコンと一緒に仕事をする事は、ほとんどありませんでした。
ロックマン10を作曲する一年前に、ロックマン9でアレンジをさせていただきました(We’re the Robots)。そのロックマン9の担当者から「今度、ロックマン10で歴代の作曲家が集まって音楽を担当してもらおうと言う事になりましたので、是非お願いします!」と、連絡がありました。久しぶりにロックマンの曲を作ることを、大変嬉しく思いました。

モハメド:過去の作曲家を集めて音楽を作曲してもらいつつ、トリプルアイ(III) にワイリーのステージを担当してもらうなど、といったカプコンの方向性はすごく面白いと思います。
音楽を作る前に、ニトロマンのデザインやステージ構成は事前に知っていましたか?

真奈美:ええ、私もその企画はとてもよかったと思います。

ニトロマンを作った時は、ニトロマンのキャラ図しか見ていません。ステージの構成も全く知らなく、その絵と「アップテンポな感じで作曲してください」としか、教えてもらえませんでした。
あの曲は確か、キャラを見てすぐ出来た曲です。作曲するのに、1日かからなかったかな?

モハメド:ロックマン10のほかに、テレビゲームの仕事をしていますか?

真奈美:最近、ゲームの仕事はあまりしていませんね。小さなプロジェクトに数曲程度、参加させてもらっている程度です。フリーランスでやっていると、営業をして仕事をもらってきますが、最近はそれすらしていない(涙)。仕事はある時とない時の差が激しいです。また、最近は若い作曲家の人たちがどんどん出てきて、よい音楽を作っています。私のように古い人間より、若い人達の方が、最近のゲームにはあっているような気がしています。ゲームの開発をされている方も若い方が多いじゃないですか。だから、音楽も若い人の方がいい(笑)あ、でも、お仕事のお話があれば、お受けはしますよ。(海外からでも大丈夫です。笑)

モハメド:そういえば、弊社の仕事を受けて頂いて良かったですね!World 1-2のアルバムについてですが、ロックマンのかっこいい感じと同じようなテーマで作りたかったのですか。そのテーマについて、詳しく説明して頂けますか?

真奈美:このお話を頂いた時に、ロックマンの初期の感じの雰囲気、ロックマン10のような感じの曲を作って欲しいといわれたので、最近の雰囲気的なゲーム音楽ではなく、昔のようなメロディーがしっかりした曲を求めているのだなという事がわかりました。だからメロディーはあくまでも覚えやすく、歌詞を付けて歌えるような感じで、そしてかっこよくを頭にいれて作曲しました。

シーケンサーはCubaseを使っています。今回の曲の音源はHALion4、Kontakt4、Fantom-XRなどです。

モハメド:うまくできたと思います!松前さんっぽいロックマンになりましたね。
そういえば、ソロアルバムを作ることを考えたことがありますか?
ソロアルバムというと、会社での作品とは関係ない「Manami Album」のものです。

真奈美:曲を気に入って頂き、本当に嬉しいです!!又、私ごときものがソロアルバムなんて・・(笑)お気持ちはとても嬉しいです。ありがとうございます!

モハメド:今、山岸継司さんの初めてのソロアルバムを手伝っています。
それが終わったら、もし良かったら松前さんとも一緒により幅広い何か作ろうかなと考えているんです!(笑)

真奈美:本当にモハメドさんにはいつも「アルバムをつくりませんかー?」とお声をかけて頂きます。本当にありがたい事です。いつか、こんな私でよければ、又、私の心の準備が整ったら(大げさだ!笑)是非、ご一緒に何かをさせて下さい!

モハメド:それはまた別の機会でお話ししましょう。
お時間とご協力ありがとうございました。
松前さんと懐かしいお話をできて光栄でした。
今度、松前さんが作曲したロックマンをプレイするのを願っています!

真奈美:こちらこそ、このようなプロジェクトに参加させて頂き、とても光栄に思っています。又、ご一緒にお仕事が出来る日を楽しみにしています。本当にありがとうございました。


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和訳・英訳・ローカリゼーション:Alex ‘cvxfreak’ Aniel
イラストレーションとKoopa Soundworksのロゴデザイン:Andy Helms